2008/03/22 (Sat) 小さなため息の訳。

　「はぁ・・・」








作業台でカラーを調合している








　私のそばで、







　けーちゃんが








小さなため息をついた。











「はぁー・・












あれ。






またついてる。










どうしたんだろう。









気づかないふりをして、








ちょっとしてから、







チラみした。










けーちゃんは、









洗い物の手を止めて、









ちょっと、ボーっとしてた。









なんだか、







背中がすこし







さみしそう・・・







に、見えた。











でも、施術の最中は、








いたって普通だ。








何の変りもない。











サロンワークは、









口数が多いわけでもなく、









かといって、










ぶっきらぼうではない。









しかし、









接し方は、非常に丁寧なので、










お客様も安心している。









話しかけられたら、話すけど、









自分からは　ほとんど









話しかけない。









いつも、落ち着いた雰囲気だ。









ヘッドスパのときなんかは、








自分も、目を閉じて、









　手で感じながら、








施術している。








だから、とても評判がいい。









ハンド＆ネイルは、








言わずもがな。








「ねこ手」　と、









本来の彼の優しさが、









本領発揮。








本当に気持ちが良いらしい。








　　全然、普通だ。







あの、ため息は。









気のせいなんだろうか？










体がだるいのか、







彼女と、喧嘩でもしたのかな??









人間だもの、








そういうことも、あるよね。










よっぽど、なにかあったら、







言ってくるだろうから、









そっとしておこう・・・。











・・春の陽気で、








サロンも最近は、








忙しい日が多い。










珍しい（笑）










嵐が来ないか、









私は、ひそかに









心配している。









もう、　








３人並んで、








ラジオ体操なんか、








やってる暇はない（笑）








なつかしーなー








　・・・その日も、








結局バタバタして









一日が終わり、









けーちゃんのため息のことも、








忘れかけていた。









「おつかれさまでーす」







元気にナオチャンが帰っていった。









いつも、大体一緒に帰るのに、









なんだかけーちゃんは、









ごそごそやってる。








特に気にせず、







ブログを書いてた私。







そしたら、帰り支度のけーちゃんが。











「はーぁ・・・」






・・・







でたっ！！






やっぱり気のせいじゃないんだ。









「・・・どうしたの？」








「風太が、昨日










死んじゃったんです・・」









「えっ・・！







「風太って・・・」









「インコの」







そっか・・










「空太が、たたいたみたいで、







それで、死んじゃって・・」









空太は、










　　この子です。












空太と風太は、







犬と鳥だけど、







なかよしだっって。








よく、話してた。









けーちゃんには、








空太も、風太も、









やっぱり　友達。







家族。









悲しい出来事だったね。









「あー、







家に帰りたくない」








仕事が終わったけーちゃんは、







本来のけーちゃんに戻り、








本当の気持ちを口にしていました。










「でも、空太は悪くないもんね、








・・・きっと、







鳥の時代、終わりだったんだよ。









だから、








また何かに生まれ変わる為にさ。










・・・今期は、翼はあったけど、









もしかしたら、








もっといいのに








生まれ変わるかも知れないしさ。









空太は、









それが分かったんじゃないかなぁ？？」








だから、







　悲しまないで。







風太の気持ちになったら、










翼で飛びまわれるようになって、









良くなったかもよ。








・・・くるしい慰めかも知れないなぁ。










「昨日、土に埋めてやりました」










　　　　そうだね。










私も、昔、










いろんな生き物を飼って、







虫や、金魚や








文鳥や、ハムスターや・・・









そして、死んでしまっては泣き、









家族で悲しい気持ちになり、








裏庭の木の根元に、










埋めたっけ。








何度も何度も、










そういう思いをしたなぁ。









悲しかったよなぁ。








昨日はちゅんちゅん動いていて、








温かかった文鳥が、







今日は、








まぶたを閉じて、







かたーく閉じて、







体をピーンと硬直させて、







小さくなってた。








小さくて、







冷たくて・・・








あんなに柔らかで、






力強く、








あたたかだったのに。









・・・・嘘みたいに。









命がぬけると、








一瞬にして、







かわってしまう。










悲しくて、









涙が止まらず、









手のひらにのせたまま、








お月様の光が







一番当たる場所に、







そこに　　埋めました。









幼いながらに、









命の、









その質感としての変化を通して









その尊さを実感した出来事・・・。


























・・・忘れてた。








生々しい記憶が、フラッシュバックし、









朝方に目が覚めた。









けーちゃんは、









眠れたかしら。










朝の、けーちゃんは、








やっぱり普通で、






いつものように、








ちょっと踊ってみたリ（笑）








仕事も、もちろんちゃんと普段どおりに。










でも、ふとしたときの表情は、









まだ晴れないけど、











それは、仕方ないよ。








いいんだよ、







　時間が癒してくれるから。









ね。












命ある小さな生き物に接し、










生活をともにし、











その「死」に遭遇すること。








その「自然」に触れた分だけ、










その悲しさの分だけ、








人はやっぱり、














やさしくなれるような、








気がします。